研究概要 |
バリアの少ない歩行専用空間を対象に手動車椅子を使用しての移動実験を実施した。アイカメラを装着した被験者が決められたルートを手動車椅子を操作して移動を行った。アイカメラを装着して得られるデータは景色の映像、アイマークのX、Y座標である。アイマークのX,Y座標から注視点を抽出し,注視時間や注視回数についてパソナル・コンピュータで分析した。景色の映像は抽出された注視点の注視対象を抽出するのに利用した。注視対象はVTRを再生し,コマ送による手作業で読みとり分析した。 その結果、1回当たりの平均注視時間,1秒当たりの平均注視回数は空間側の影響は受けないこと、注視対象は手動の車椅子を操作した場合には安全正に関するものが主であり、快適性に関する注視対象まで拡大していないこと,注視方向は正面方向が主な方向であることなどの知見を得た。手動車椅子を操作して歩行する場合の視覚情報収集は比較的限定された空間のものである。車椅子使用者の視覚情報収集が広範囲にまでおよぶような空間構成がより重要であると考えられる。 手動車椅子使用時の視覚情報収集の特性について明らかにすることを目的とした。バリアの少ない歩行者専用の傾斜路での歩行実験についての解析結果から多くの知見を得ることができた。 屋外実験の場合,天候に左右される面を無視することはできない。そのため多少の失敗もあったが,目標とするデータを得ることができた。また,研究方法としてはアイカメラを使用する方法を採用したが,屋外で被験者にアイカメラを装着し、歩行をしてもらう場合,歩行前と歩行後のアイマークのずれが大きくなることがある。 何回か実験をやり直し,必要とされるサンプルを収集することができ、当初の目的を達成することができた。
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