本研究はノーマライゼーションの推進に伴い福祉対象者の居住施設サービスの新しい形態として期待されている「グループホーム」に焦点をあてて存在構造と方向性を明らかにする事を目的としている。 多分野に於けるグループホーム的居住の事例調査・行政調査、文献考察を基に、知的障害者を対象として全国に設置されている生活寮やグループホーム855ホーム対象に郵送アンケート調査(「グループホームの活動状況と住環境に関する調査」)を実施し、546例(回収率63.9%)の有効回答を基に全体像を把握した。1989年の制度化に伴いグループホームが増加しているが、生活寮等も独自の実践を継続している。住居は1戸建てが多く1人当たり面積は平均28m^2であり、所有形態は借家や社会福祉法人所有等多様である。利用者属性は、男性比率が高く、年齢は30代中心に広く分布しており、障害程度は中・軽度が多い。他方世話人は40代以降の女性が多く、ホームと近居、同居、隣居と支援拠点は分かれている等グループホーム・生活寮の全体像が把握できた。 また、収集した平面図など生活空間構成資料の解析、並びに宮城県内の敷設調査・グループホーム使われ方事例調査等を行なった結果、収集した500例の空間分析では、一戸建の平面構成は、共有空間と居室の連結、居室の構成(並列型・直列型)、1階・2階の構成で12の型に類型化される各々の特徴が把握できた。 宮城県調査により知的障害者グループホーム形態が急増している要因、立地特性、バックアップ施設との役割分担等の関係構造が明らかになった。事例考察によって4人居住の住まい方、家庭的雰囲気の形成内容、共同の場としての居間の重要性と個室の有効性等生活空間構成と使われ方の関係、世話人と利用者の生活実態や問題特性が明らかとなり、今後のグループホーム発展の枠組みが把握できた。
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