研究概要 |
これまで二年間の研究成果を踏まえ、本年度はその継続研究として(1)カタルニア・モデルニスモの思潮の背景としての都市バルセロナについて、(2)カタルニア建築思潮を担った建築家たちの作家研究、(3)現地調査の三点から展開し、研究の締め括りとしての論文・著作の執筆作業を行っている。 (1)に関してはLl.Permanyer著の『Barcelona, Architectural Details and Delight』(1993)の全訳を通じて、カタルニア・モデルニスモの都市住宅から見たバルセロナ論を試みている。 (2)に関してはDomenech i Girbau他著の『Domenech i Montaner』(1994), R.Torres他著の『Josep Torres Clave』(1994), J.Jujol.Jr.著の『La arquitectura de Jujol』(1968)等の著作を読み通すことを通して、各建築家の作家研究に新しい知見を提示するとともに、カタルニア・モデルニスモからカタルニア・ヌウセンティスモへの変遷過程を確認した。 (3)に関してはカタルニアの諸都市バルセロナ、タラゴナ、タラッサ、サンジョアンデスピなどにおいて、建築家の諸作品の調査と資料収集を行った。 また、建築家アントニオ・ガウディ論の作成、及びカタルニア建築思潮(19-20C初頭)期の都市住宅及び戸建住宅の祖形としてのスペイン民家に関する著作をまとめている。そして、本研究の締め括りとして、日本建築学会論文報告集『国民的建築を求めて」に見る彼の建築について-建築家ルイス・ドメネク・イ・モンタネル研究-1』の投稿、ならびに三年間の成果の公表にかわるものとして著作『バルセロナ-都市・思潮・建築』をまとめる所存である。
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