◯北部九州に於ける近世社寺建築の作風としては次の結果を得た。 1.筑前国の神社拝殿は切妻造、妻入りが比較的多く、その理由は福岡市筥崎宮や玄海町宗像神社の拝殿の影響を受けたらしい。 2.上掲は、宗像市、津屋崎町、福間町の社寺建築の悉皆調査に基づいた結果で、平成8年度日本建築学会大会に発表する予定である。 3.その他の作風については現在収集資料を分析中である。 ◯北部九州に於ける木造建築大工の研究としては次の結果を得た。 1.宇佐神宮の造営に近世時関係した大工のリストアップが終了し、その結果、豊前国内の一部の神社の造営にも関係していることが判明した。 2.福岡県津屋崎町、福間町及び大分県大分郡、臼杵市、熊本県の北部などの寺社で棟札を収集し、整理中である。 3.福岡市大工林家文書を収集し、解読中である。 4.大分市大工利光家文書を収集し、解読中である。 ◯今後の研究の展開:大工林家文書及び利光家文書の解読により、記載された寺社を調査し、棟札等により文書の信憑性を確認すると共に、作風を解明したい。
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