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巨大磁気抵抗効果(GMR)を示すAg-Co系粒子状膜について、Co濃度の薄い試料について、磁化や磁気輸送現象(磁気抵抗、熱起電力の磁場依存性)を測定するために、2源同時蒸着を用いてCo濃度10at%から0.6at%までの試料を作成した。磁気測定の結果、熱処理前の試料はブロック温度が20K以下の超常磁性を示し、Langivinフィッティングにより粒径分布を求めることができた。その結果、Coは30〜200個程度の原子を含むクラスターを形成しており、濃度、熱処理と共にその個数は増加する。これらの試料の磁気抵抗は測定磁場(55kOe)では飽和せず、常温では数%で低温では20%程度をしめす。MR比は粒径の増加に対して増加するが、磁場による抵抗変化分はその逆の傾向を示した。Agマトリックス自体の電気抵抗を考慮すると、Asano等の計算による表面体積比に対する磁気抵抗変化と定性的な一致を見るが、理論的な予測より大きなMR変化は今後の検討課題である。
熱超電力の測定から特徴的な結果が得られた。低濃度の試料を熱処理する前には近藤効果特有の温度変化を示す。熱処理によりほぼ直線的な温度変化に変化し、その常温での大きさは10%以下では濃度に存在する傾向がある。このことから、十分成長したCo粒子の散乱は界面におけるバルク状態のDOSの寄与が大きく、GMRの起源となっていると考えられる。最低濃度0.6at%では、Coの粒子が十分成長せず不純物のまま残り、熱処理後は近藤効果と母材であるAgのフォノンドラッグまで含めて説明できることがわかった。
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