多孔性ガラス中及び、これに金属カリュウムを充填したときの陽電子寿命を測定し、比較検討した。その結果、 1)孔が空であるとき、孔にポジトロニュームとして脱出して消滅する陽電子の割合は比較的少なく、数パーセント程度であること、 2)従って、多くの陽電子は多孔性ガラスの内部で熱化して消滅していること、 3)孔を金属カリュウムで充填すると、孔がふさがるためにポジトロニューム形成確立が減少すること、 4)ベンゼン孔に充填すると、孔中のベンゼン内でポジトロニュームが形成されること、 5)ポジトロニューム形成量の変化を使って充填ベンゼンの量が推定できること、 6)ベンゼンに関する結果から、孔内に吸蔵した液体内部にポジトロニュームが形成されるならば、この形成率から液体の量が求められること、 などが明らかになった。次年度は、 1)孔にホポジトロニュームとして脱出する陽電子の多い多孔性ガラスを探すこと、 2)充填物質の格子欠陥について研究すること、 フラーレン膜を張ってその物性を明らかにすること、 を目的とする。
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