研究概要 |
本研究では,水素|H^+|金属で構成される電池の起電力(EMF)のゆらぎの詳細を調べ,EMFの発生機構および金属界面における水素の動的挙動を明らかにすることを目的とし,平成7年度実施計画に基づき,特に,白金-水素系電池に関して調べた。 1.Pt-水素系電池の起電力(EMF)の「ゆらぎ」に関して,(1)EMFの時間推移依存性(ゆらぎ),(2)EMFのゆらぎの温度依存性,等の観点から測定し,測定結果をパワースペクトル法,相関関数法及び確率密度関数法により解析を行った。 2.解析の結果,次の知見が得られた。(1)ゆらぎは系に固有のものである。(2)ゆらぎは金属界面における水素濃度のゆらぎに起因する。(3)パワースペクトル法および相関関数法の解析からこのゆらぎはマルコフ過程に分類される。(4)確率密度関数法は積分法の一種であり,ゆらぎの系統的な解析に適している。この解析法から,平均値<EMF>は試料に固有(金属界面の状態に強く依存)な情報を与える。標準偏差<EMF^2>^<1/2>の温度依存性を,金属界面における水素の吸着状態により議論した。 3.この電池をショートした直後の電流の変化や短絡回路を外した後のEMFの回復過程の測定を行い,その温度依存性を調べ,金属界面での水素の吸着・脱離等の過程に関する知見を得た。本測定法は既に発表している。 尚、結果の一部は平成7年10月開催の日本物理学会において発表した。
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