研究概要 |
Ti-(40-50)at.%Al二次系金属間化合物は,その規則格子構造などに起因して高比強度および高温での耐酸化性を有するが,高温領域の相平衡状態図は未だに明確でない.その一原因として高温での安定相が急冷によっても過冷却されにくいことが上げられる.しかし,高温領域で安定とされるα相の分解過程については,すでに多くの報告がある.高温相のもう一方の代表であるβ相の分解過程については,その安定領域がさらに高温であるためにその相分離過程に関する情報を得るのは非常に困難である. 本研究ではβ相安定領域を低温側にまで拡大さすためにZrを試料表面から拡散させ,その効果を明確にした.つまり,Zr添加はβ相安定領域を低温かつ高Al濃度側まで拡大する.さらに,このβ相分解過程が冷却速度およびAl濃度に大きく依存することが明らかになってきた.冷却速度の増加につれてβ→α_2単一変態が拡散→(拡散+剪断)→剪断機構へと相分解機構を変化させることであり,初めて本申請グループで相分解が拡散と剪断の両方の機構が同時に関与することを明確にしたことである.また,高Al濃度側でのマッシブ組織形成時にその歪緩和に相分解が関与することも初めて明らかにしつつある. Ni基超合金の時効硬化過程に析出前段階での(1)過剰空孔と転位との弾性的相互作用が析出規則相の構成要素である溶質原子の挙動を大きく支配することを明らかにした.まず,刃状転位とらせん転位の各転位と過剰空孔との相互作用過程を実験的に詳細に調べ,それに基づき理論的解析も行った.さらに,この格子欠陥挙動に起因した溶質原子挙動をも規則相析出初期過程から調べることによって明確にした.つまり,時効硬化過程は析出相の核形成・成長過程に依存するが,この核形成・成長過程が項目(1)に起因するという非常に重要な結論を得た.
|