研究課題/領域番号 |
07650771
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
仲井 清眞 愛媛大学, 工学部, 助教授 (60038114)
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研究分担者 |
大坪 博之 愛媛大学, 工学部, 助手 (30036248)
大森 靖也 愛媛大学, 工学部, 教授 (10233280)
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キーワード | 相分解過程 / マッシブ組織 / 結晶方位関係 / 金属間化合物 / 超合金 / 析出前段階 / 格子欠陥挙動 / 溶質原子挙動 |
研究概要 |
Ti-Nl基合金は、高比強度および耐酸化性材料として注目されているが、その相分離の過程および機構については不明な点が多い。そこで、現在、注目さている30-50 at.%Alで生ずる典型的な3種類の相分解過程、(1)β相相分解、(2)α→α_2+γへの分解および(3)α相中のマッシブ組織形成、の内、特に(3)について研究を行い、以下の成果をあげた。 α相中のマッシブ組織形成過程については、詳細な結晶学的解析などを通じて明確にした。その過程を以下に記す。α相中に6種類のバリアント(兄弟晶)から成る不規則γ相が原子位置対応の良い短範囲拡散機構により形成されると同時に、双晶や重畳積層欠陥などの格子不変歪が導入される。その後、この不規則γ相が特に重畳積層欠陥上の部分転位の存在位置から規則化する。また、局部的に格子不変歪が導入されなかった領域では、α_2相の析出が顕著に生じており、変態歪の緩和に寄与することを明らかにした。このような微細組織が過冷却のために次々と核形成され、集合したものがマッシブ組織である。また、本機構(原子位置対応の良い短範囲拡散機構)が他の合金系におけるベイナイト形成に適用できることも明らかにした。 Ni基超合金の時効硬化挙動に関しては、析出前段階での過剰空孔と転位との弾性的相互作用がγ'およびγ"規則相の構成元素である溶質原子の挙動を大きく支配していることをすでに明らかにしたが、さらに、刃状転位とらせん転位の各転位と空孔および溶質原子との相互作用の過程を実験的に詳細に調べ、それに基づき理論的解析を遂行した。その結果、時効硬化挙動を左右するγ'およびγ"規則相の核形成・成長過程が析出前段階での過剰空孔と転位との弾性的相互作用に大きく存在する、という非常に重要な結論を得た。
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