研究概要 |
CdSe,ZnO及びSrTiO_3焼結体の光電気化学エッチングサイトの選択性を調べ,その粒構造,特に粒界部のエネルギーバンド構造との関係について検討した。また,ZnOバリスター,ZnOガスセンサー,SrTiO_3バリスターに対して光電気化学エッチング処理を行い,その素子特性に及ぼす影響について検討した。 1.CdSeをモデル物質として用いて光電気化学エッチングサイトの選択性の観察を行い,機能性エレクトロセラミックス素子の機能発現に重要な役割を果たす半導体焼結体の粒界構造について検討した。その結果,光電気化学エッチングサイトの選択性は半導体/電解液界面に形成される空間電荷層の電位勾配と粒界部の電子捕獲準位に起因する空間電荷層の電位勾配とに依存して変化し,その観察から粒界部のエネルギーバンド構造に関する情報が得られることが分かった。 2.光電気化学エッチング処理のZnOバリスタ特性に対する効果を検討した。エッチング電位,エッチング量に依存して,バリスタ電圧,非直線係数が変化することがわかった。 3.SrTiO_3の光電気化学エッチングサイトの選択性について検討した。弱いアノード分極下で行った場合,粒界が溶け残りその両側にエッチング速度の速い領域が観察されることがわかった。このエッチング速度の速い領域は,従来直接観察の困難であった粒界部の空間電荷層領域を示すものと考え,異なるバリスター電圧を示すSrTiO_3バリスターを作成して評価した。バリスタ特性の発現において粒界部に形成される空間電荷層が重要な役割を示すことが知られているが,本研究で観察された空間電荷層幅は,従来の容量測定などから予想される空間電荷層幅よりも1〜2桁広いものであった。これは,半導体/電解液界面の空間電荷層の影響が粒界部の空間電荷層に対してあらわれた結果と考えた。
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