研究概要 |
常圧固相反応で得られる(Ca_<0.86>Sr_<0.14>)CuO_2は無限層構造を取っている。高圧合成で得られる無限層構造を持つ物質は(Ca_<0.3>Sr_<0.7>)CuO_2であり、超伝導となるが、そのc-軸長は常圧で得られるものより長い。c-軸長の長い無限層構造を常圧で得ようとしてアルカリ土類金属をイオン半径の大きなBaで置き換え、Ba-Sr-Cu-O系やBa-Ca-Cu-O系の試料を作製した。2種のアルカリ土類金属(Ba-Sr,Ba-Ca)の混合比を変えて試料を作製したが、全域に於いて無限層構造は現れず、電気抵抗も低くなく絶縁体的であった。次に(Ca_<0.86>Sr_<0.14>)CuO_2にLi,Kをドープすることによって、電気抵抗を小さくすることを試みた。無限層構造の安定領域は比較的狭く、LiをドープしたCa-Sr-Li-Cu無限層構造は取らなかった。この系では電気抵抗が液体窒素温度まで半導体的であるが、-O系では結晶構造は主にCa_2CuO_3型構造であり、抵抗値は100Ω程度の小さな値を取る。KをドープしたCa-Sr-K-Cu-O系は結晶構造は無限層構造をとるものの、電気抵抗は液体窒素温度まで半導体的である。格子定数はKをドープしないものに比べて、a-軸長が伸び、c-軸長が小さくなった。無限層構造の体心位置の原子をイオン半径の大きな原子で置換することができたものの、格子定数の伸びが期待したc-軸で起こらなかった原因を考え、今後別の元素置換を考え、新物質の探索を進める予定である。試料作製にあたっては補助金で購入したミキサーミル(粉砕混合機)を利用したので他種類の試料作製が早くできるようになった。
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