1.BSO(Bi_4Si_3O_<12>)単結晶の育成技術の確立 ブリッジマン法によるBSO結晶の成長機構について調査した。その結果、この系の結晶成長ではBiとSiの質量および融点の差が大きく、これが原因して偏析相が生成する。この偏析は、インゴットの表面やトップ部に生成するが、原料の調製および溶解温度の最適化によりかなり防止できる。 2.大型BSO結晶の試作 上記の結晶育成技術を応用して、高エネルギー粒子検出用として、大きさがφ35mm、長さ200mmの単結晶を2本試作した。インゴットは基礎実験で経験した偏析相の問題があったが、対面距離が26mmで断面が8角形、長さ185mm、および200mmの結晶を採取できた。この結晶の蛍光出力の均一性は±1.6%であり、極めて良好な特性を示した。 3.Ce添加BSO結晶の育成と評価 BSOに発光のための不純物として、Ceを0.1、0.2および0.4 at%を添加して単結晶を育成し、結晶性およびシンチレータ特性について評価した。 1)Ceを添加したBSO結晶には、添加量が増すと共に偏析相が多くなり、0.4%Ceではインゴットの内部にも出現し、結晶性が悪くなる。Ceを添加した結晶の光透過特性は、吸収端が290nmから350nmに移動し、Ceが添加するほど長波長側にずれる。また透過率の減少した。 2)BSO結晶のシンチレータ特性は、発光波長が470nm、励起波長は290nmであり、Ceを添加しても変化しない。BSOの蛍光出力は、代表的な酸化物シンチレータBGO(Bi_4Ge_3O_<12>)の1/3であり、Ceを添加すると蛍光強さは小さくなり、0.4at%添加した結晶では蛍光は認められなくなる。蛍光の減衰特性は、Ceを添加しない結晶にほぼ等しく、期待した減衰特性の改善は見られなかった。
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