研究課題/領域番号 |
07650810
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
今野 豊彦 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (90260447)
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研究分担者 |
鈴木 謙爾 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (10005861)
隅山 兼治 東北大学, 金属材料研究所, 助教授 (70101243)
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キーワード | 機能材料 / 界面構造 / 非平衡合金 / 強磁性体 / 電子顕微鏡 / 電気抵抗 |
研究概要 |
薄膜状の酸素欠損型ユーロピウム酸化物(EuO)の生成に関して、蒸着時の基板温度と酸素吹き付け量という二つの合成条件が薄膜の非化学量論的組成に与える影響を詳細に吟味した。その結果、酸素欠損型EuOは基板温度が200℃以下において安定に生成することを確認し、これまで不可能とされていた数μmの厚さのEuO薄膜を再現性よく合成することに成功した。そして磁気的性質をアロットプロットなどで詳細に調べ、アップスピンとダウンスピンバンドの電子の分布の差に起因する磁化曲線が現われていることなどを確認した。また、電子顕微鏡観察により基板温度と結晶粒径との関係などを明らかにした。 一方、非固溶系の状態図を呈するEu-Fe系において、これまで行ってきた縦方向の磁気抵抗(L-MR)に加え、横方向の磁気抵抗(T-MR)測定を行った。この結果、L-MRは約8Tまでの外部磁場まで正の値を示し続けた後に急激に減少するのに対し、T-MRは約4T程度までわずかに上昇した後、減少を続け、14TではT-MRはL-MRの約5倍の値を示すことが判明した。さらにEu-Co系の非平衡合金を蒸着法によって合成した。この系についても同様にL-およびT-MRを測定した結果、本質的にはEu-Fe系にみられたのと同様のふるまいをすることが明らかになった。このような特異な磁気抵抗はEu固有のらせん構造が遷移金属原子のモーメントによって直接、乱されたことに起因するのか、あるいは遷移金属を固溶させることにより、Euモーメント間の交換相互作用が弱まることに起因するのかを立証する実験を現在進めている。一方、高分解能電子顕微鏡を用いてこれらの非平衡薄膜の構造を直接観察し、構造と磁気抵抗の関連を明らかにする実験を行っている。
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