研究概要 |
本年度、著者らはTi-Al-Nb及びTi-Al-Cr3元系合金を用いて1100°C〜1400°Cにおけるα-Ti,α_2-Ti_3Al,β-Tiおよびγ-TiAl4相間の相平衡を調べ、1200°C以上においてα+β+γ3相共存領域が存在し、この領域は温度の増加とともにAl濃度及び第3元素濃度が増加する側に移行することを明らかにした.また、この結果を利用して、高温でα単相,低温でγ単相となる組成域を確定し、高温のα単相域から冷却すると、2元系では得られないマッシブγ相が空冷程度の冷却速度においても得られることを明らかにした.また、1200°Cでは、Ti-Al2元系では絶対に存在しないα+α2+β3相共存領域が3元系で存在すること実験的に明らかにし、第3元素の添加はα相に対してα_2相をより安定化させる効果をもつことを見いだした.これらの結果から、Ti-Al-X(X=Cr,Nb)3元合金の相平衡は、温度の低下に伴い以下に示すような包共析反応によって変化することを見いだした: (α+β+γ)+(α+α_2+β)→(α_2+β+γ)+(α+α_2+γ) この結果は、高温で安定なα相が温度の低下にともないただ単にα_2相へ規則化するという従来の考えが誤りであり、包共析反応を通してα_2相へ変化することを実験的に初めて明確に示したものである.これらの相平衡およびその温度に伴う変化に関する知見は、γ-TiAl基合金の特性を改善するための組織制御を行う際に、どのような相変態を利用すればよいかを理解するうえで非常である.
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