研究概要 |
本年度では,7年度で確立した固相置換反応法に基づく製造法で作製したNi/TiO_2サ-メット電極にSOFCの電解質として最も有望だとされているZrO_2-8mol%Y_2O_3(YSZ)をプラズマ溶射法で取り付け,水蒸気を含む水素雰囲気中で,電極抵抗の測定およびジルコニアとの反応性の評価をおこなった.電極導電率の測定には複素インピーダンス法と直流分極法を用い,反応性の評価は,反応後の試料を樹脂で固定後,切断し,その接合部をEPMAで分析して元素の拡散状況を調べておこなった. 電極導電率は,30℃の飽和水蒸気を含む水素雰囲気中では,温度が高くなるに従って増大し,1000℃で約1000S・cm^2と非常に高い値であった.この導電率は他のSOFCの燃料極と比較して十分な値であると考えられた.さらに,1000℃での電極導電率の水蒸気分圧依存性を測定すると,導電率は水蒸気分圧が高くなるほど増加し,導電率の対数をP_H_2^O/P_H_2の対数で整理すると,その傾きは1/2となった.この挙動を解析した結果,酸素原子のニッケル上での移動過程がアノード反応の律速段階であることが分かった. 反応性のテストは1000℃,1100℃,1200℃で行った.1200度で反応させた試料の界面には,YSZとTiO_2が反応した層が観察されたり、1000℃,1100℃では反応層は観察されなかった.したがって,1100℃以下の温度で電極を取り付ければ,反応による劣化は生じないことが分かった.
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