1.Snめっき条件の検討 めっき条件として、めっき液組成(フェノールスルフォン酸、Sn^<2+>)中のSn^<2+>濃度、電流密度を変えて、それらの影響を調べた。その結果Sn^<2+>を20g/lとし、電流密度を1.0A/dm^2で行った場合が最も密着性のよいSnめっきが得られた。次にめっき厚とめっき時間の関係を求め、0.1μm (12.5sec)、0.3μm (37.5sec)、1μm (130sec)の3種類のめっき厚の試料を作成した。 2.ろう付け性の評価とめっき厚の関係 ろう付け性としては一定量の粉末Ni(BNi-5)ろうを鋼板の上で1200℃×10min保持して溶融、30℃/minで冷却後断面の検鏡を行い、ろうと鋼板のなす角で評価した。ろう付け作業の緩和対策としては従来の高真空から、ロータリポンプのみによる低真空とした。 ろうと鋼板のなす角はめっき厚さとともに減少しており、Snめっきを施すことによってぬれ性は著しく改善されることが分かった。しかし、そのめっき厚さは0.3μm以上では角度が約20℃とほぼ飽和する。 3.ろう/鋼板境界の組織変化 Niろうの凝固組織は樹枝状晶を呈しており、境界の組織は光学顕微鏡で観察し、析出物の組成はEPMAにより分析した。晶間はAlが多く、NiとAlの金属化合物Ni_3Alが認められた。境界部近傍の拡散層には粒状の(NiFe)_3Alが多数析出しており、境界から母材側へ入るにつれて析出物は微細になり、しかもその組成はFeの濃度が高くなってくる。このような境界拡散層の組成についてはめっきの有無による違いはない。
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