研究概要 |
本年度は,酸化性雰囲気において耐久性に優れる電極材料の選択および高融点材料の焼結が可能なレーザ焼結炉の試作を主な研究内容とした. まず,酸化性雰囲気において耐久性に優れ同時にアーク安定性の良好な電極材料の選択をアーク放電機構をもとに検討した.その結果,エアプラズマアーク切断用電極に使用されているハフニウム(Hf)とそれに比べて高融点の窒化ハフニウム(HfN)粉末を取り上げた.焼結は高温型電気焼結炉と試作したレーザ焼結炉を用いて行なった.電気炉を用いて最高温度2100℃,保持時間1時間の窒素雰囲気で焼き固めた焼結体を電極材料とした.そして,作動ガスに酸素および圧縮空気を用いて水冷した銅製陽極にアーク放電(電流200A)を行なう消耗試験の結果,試験開始の数分間で電極は消耗した.これは焼結体の密度が予想した以上に上がらず,バルクの気孔が影響したものと考えられる. また,レーザを熱源とした焼結炉を作製し,HfおよびHfN粉末の焼結を試み,電気炉の場合と比較した.試作したレーザ焼結炉は銅製の水冷した円筒体であり,上部のガラス窓からレーザ光を入射させ,タングステン板上に置いた成形体にレーザを照射(80W, 15分間)するものである.HfNでは電気炉の場合と同様に焼結はそれほど進まなかったが,Hfでは同条件下において焼結がかなり進行した.また,炉内に窒素ガスを導入した実験において,高融点の窒化ハフニウムの作成が可能であることが分かった.
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