平成7年度は主に次の三つの結果を得た。 (1)0.2mass%のZrあるいはHfを含むTiAl試料を純酸素中、1200、1300、1350および1400Kで100ks酸化させ、酸化増量曲線を得た。さらに、室温〜1300Kの温度範囲で100サイクル(100時間)繰り返し酸化試験を行った。等温酸化では次のことがわかった。1300Kまでは、酸化はほぼ放物線則に従い、保護性の高いアルミナスケールが形成された。酸化増量は、無添加の試料と比べて1/50以下に下がった。しかし、1350K以上では、この効果は小さくなり、1400Kではこの効果はなくなる。一方、繰り返し酸化では、100サイクル経過してもアルミナスケールは剥離せず非常に優れた保護性を示した。0.2mass%:Hfを添加した試料においても、同様の結果が得られた。酸化生成物の組織学的な調査の結果によると、両元素ともスケールあるいは下地中に偏析濃化せず、試料中に均一に分布していることがわかった。 (2)次に、Hfの添加量を0.5、1、2、5mass%と増加していった試料が純酸素中、1200Kで等温酸化した。その結果、Hf量が増加するにつれて酸化増量が増え、スケールの保護性が低下することがわかった。酸化生成物の組織学的な調査の結果によると、アルミナスケール中にルチルとアルミナの混合物からなる瘤ができ、その成長は比較的速いことがわかった。この瘤は、時間の経過とともに横方向および深さ方向にも成長し、試料表面を覆うようになる。Hf量が増加するにつれて、瘤の数が増えるので、酸化増量はさらに大きくなる。 (3)イオン注入技術を用いて、TiAlの表面層にNbを35mole%添加した試料を作成し、純酸素中で、1200Kにおける等温酸化および室温〜1200Kの温度範囲で100サイクル(100時間)繰り返し酸化試験を行った。両試験において、試料表面にアルミナスケールが形成され、その保護性は非常に優れていた。
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