平成7年度における本研究の実施計画は、鉄合金、ニッケル合金および銅合金の計10種類の、回転電極試料による測定、ならびにそれらのガルバニック対形成したときの電流測定であった。 まず回転電極法での結果であるが、上記の各種合金を精密加工して回転電極に仕上げ、エメリ-研磨面について0.1MNa2SO4溶液に乾燥空気をパ-ジしつつ、自然電位から水素発生領域の電位まで動電位法によりカソード分極して、電流-電位曲線を求めた。回転電極装置は、北斗電工製の装置によった。回転速度は100から1600rpm、電位掃引速度は10^3から6×10^4sec/Vで検討した。いずれの合金も定常電流値を得るには長時間を要すること、分極曲線の初期(カソード電流値の小さい領域)に電極表面の空気酸化皮膜の還元と思われる電位停滞が現れること、電位掃引速度が速ければ皮膜還元と酸素還元が重畳してしまうこと、が分かった。この電位停滞の後に酸素還元のタ-フェル直線域、酸素拡散律速域、そして水素発生のタ-フェル直線域が現れる。SUS304と316、インコネル600と625、キュプロニッケル2種の測定を終えて、白金で得た結果(基準データ)と比較ならびに酸素還元速度の活性序列を得た。 次に、ガルバニック対の形成には、酸素還元側電極(カソード)をニッケル線に固定し、小面積の各種合金をアノードという組合わせにした。回転電極で用いた溶液にNaClを0.01M加え、カソード室には空気を、アノード室には窒素をパ-ジしてガルバニ電流とアノードの電位を連続測定した。SUS304と316およびNiのアノードは不動態化し、一方で純鉄は溶解していく様子が明瞭に見られた。 さらに他の金属種についても、上記両者の測定を継続している。
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