研究課題/領域番号 |
07650854
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
橘 孝二 東京理科大学, 理学部・化学科, 教授 (40084321)
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研究分担者 |
長沼 啓一 東京理科大学, 理学部・化学科, 助手 (80246678)
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キーワード | 回転ディスク電極法 / 酸素還元反応 / 酸素拡散限界電流 / 金電極 / 銅電極 / チタン電極 / インコネル600電極 |
研究概要 |
平成7年度に引き続き、回転ディスク電極法により自然浸漬電位から水素発生領域の電位までカソード方向に分極して、各種金属上で酸素還元速度を測定した。本年度用いた金属は、新たに金(Au)、ニッケル(Ni)、銅(Cu)、チタン(Ti)、モリブデン(Mo)であり、さらに昨年一度測定しているが、データの統一を図るべく再度緩衝溶液を使いステンレス鋼のSUS304とSUS316、およびニッケル合金のインコネル600(lnconel600)を使用した。比較的卑な電極電位を有するモリブデン(Mo^<3+>+3e=Mo、E^0=-0.2V vs.SHE)を除けば、いずれの金属・合金も貴な電極電位をもち自然浸漬中に自己溶解はなく、安定した酸素還元反応を起こす。緩衝溶液には、主にホウ酸/ホウ砂系ならびにリン酸系を用いたが、Moは中性であっても溶解することが分かり、アルカリ環境での測定しかできなかった。 中性近傍の酸素還元のカソード分極曲線には、一般的には、印加電位の低い領域(過電圧の低い領域)で酸素還元が電極表面律速となっていることを示すタ-フェル直線領域を示し、続く高過電圧領域で電極の回転数に応じた溶液内拡散律速の限界電流(流体力学から限界電流が電極回転数の1/2乗に比例する)が現れる。さらに過電圧を高くすれば水素発生のタ-フェル直線域になる。本年度取り上げた各試料電極の中で、チタン、インコネル600、SUS304およびSUS316の4種類には明瞭な酸素拡散限界電流がみられず、酸素拡散が溶液内拡散だけでなく表面皮膜内拡散を考慮しなければならないことがわかった。さらに、中性域での酸素還元活性の序列は、タ-フェル領域の一定電流値での過電圧比較から、Pt≫Ni≧Au≒Cu≫SUS304>SUS316>lnconel600>Tiとなることが明らかになった。
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