酸素還元速度およびその反応活性が、いく種類かの純金属ならびに構造合金上で比較検討された。溶液としては緩衝あるいは非緩衝中性溶液を主に用い、回転ディスク電極法によりカソード分極曲線を測定しその比較から検討がなされた。現時点までに用いた電極は、Pt、Au、Ni、Cu、Brass、Inconel600、Ti、Mo、SUS304、およびSUS316の10種類である。 空気飽和水溶液中で得られるカソード分極曲線には、低過電圧側から順に酸素還元反応が電極表面律速になっていることを示すタ-フェル領域、酸素拡散律速になっている拡散限界電流域、そして最後に水素発生域が現れる。10種類の金属の内で一定の拡散限界電流が明確に現れるのは、Pt、Au、Ni、Cu、Mo(ただしアルカリ性溶液において)のみである。したがってこれらの拡散限界電流を各回転数の1/2乗にプロットすると、両者の間に比例関係が成り立ち、Levich式にもとずいて酸素の拡散係数あるいは反応に関与する電子数が求められた。同時にこれらは一義的なタ-フェル直線を与えたので、上記金属の酸素還元反応の交換電流密度はタ-フェル直線の外挿から得ることが出来た。それら以外の金属では表面に酸化物/水和水酸化物が存在して、そこを経由する酸素拡散を考慮しなければならないことが推察された。 全ての金属を対象にした酸素還元に対する電極活性比較は、タ-フェル領域内の一定電流値(本研究では1.0×10^<-4>A/cm^2)で過電圧の大きさを比較し、その順序からなされた。このようにして求めた反応活性序列は以下のようになった; Pt≫Ni≧ Au≒Cu≒Brass>SUS 304>SUS 316>Inconel 600>Ti
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