研究課題/領域番号 |
07650862
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 室蘭工業大学 |
研究代表者 |
片山 博 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (90002881)
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研究分担者 |
田湯 善章 室蘭工業大学, 工学部, 教務職員 (20250524)
桃野 正 室蘭工業大学, 工学部, 助教授 (10002940)
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キーワード | 耐食性高Al合金鋼 / 延性改善法 / 延性劣化要因 / Fe-Al系複炭化物 / 炭素固定元素 / 炭化物微細化 |
研究概要 |
本研究の目的は、耐食性高Al合金鋼の延性劣化要因の解明と延性向上法の確立である。今年度は高周波真空溶解炉で各種合金鋳塊を溶製し、そのミクロ組織および機械的性質に及ぼすAlおよびC含有量の影響を検討した。また、溶製時にTi、Zr、CaおよびCeを添加し精錬効果を検討した。 0.01%鋼を母材として用いた場合、Al含有量の増加とともに引張強さおよび硬さは増大し、伸びは低下した。しかし、10%Alでも約15%の伸びを示した。Al含有量を約10%に一定し、C含有量を0.05%まで高めると、硬さは高くなるが引張強さはほとんど変化せず、伸びは約3%にまで低下した。C含有量をさらに0.1%まで高めると、合金の脆化は一層顕著となり引張試験片の作製時に破断した。これらの結果から、高Al合金鋼の延性向上にはC含有量の低下が極めて重要であることがわかる。 顕微鏡観察によると、10%Al合金鋼ではC含有量の増加にともない結晶粒界および粒内の析出物が増加した。この析出物はEPMA分析によるFe-Al系複炭化物(恐らくFe_3AlC)と推定され、その部分には酸素の濃縮も認められた。現時点では、この複炭化物が延性の低下の原因と考えている。 0.05%および0.1%Cの母材にAlを10%配合し、溶製時に各種精錬剤を添加した。いずれの場合も伸びは向上せず、むしろ減少の傾向を示した。ただし、0.05%Cの母材を用いた場合は、Caの添加により伸びがいくぶん向上した。TiおよびZrの添加により析出物は著しく微細化した。しかし、合金中のCを固定するのに十分な量を添加したにもかかわらず、Fe-Al複炭化物は改質されず残存した。 当初計画したCaO-Al_2O_3系スラグによる精錬試験は、金属溶解用MgOるつぼの溶食・損傷が予想以上に激しいために中止した。新年度では、より一層大きな炭化物生成能および脱酸力を有する元素の添加試験を行うとともに、圧延および熱処理試験を予定している。
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