研究概要 |
平成7年度に作製したリンガス発生器により制御された一定のリン分圧下で溶融シリコンを平衡させることにより、シリコン中へのリンの溶解の自由エネルギー変化を求めた。一定温度でリン分圧を変化させた実験ではリン濃度が0.1mass%以下ではヘンリー則が成立することが明らかになり、温度依存性から溶解の自由エネルギー変化としてΔG^0=-139,000+43.5T(kJ/mol)が得られた。 平成8年度は、太陽電池用シリコン中の不純物元素について熱力学的考察を行った。太陽電池シリコンの不純物の中でチタンや鉄の熱力学的性質について、シリコンと相互溶解度の非常に小さい鉛を用いて測定を行った。まず、チタンの濃度を変えてシリコン-鉛間のチタンの1723Kにおける分配比を測定し、回帰分析によりシリコン中チタンの無限希薄状態における活量係数としてγ^0_<Ti(I)-Si>=4.48x10^<-4>、相互作用係数としてε^<Ti>_<Ti in Si>=3.97、ε^<Ti>_<Pb in Si>=13.2を得た。またシリコン-チタン二元系溶液の混合自由エネルギー変化として以下の関数を得た。 ΔG^M_<Si-Ti>=-188X_<Ti>+512X_T^2-1720X_<Ti>^3 (kJ/mol) (X_<Ti><0.1) 同様にして鉄濃度を変化させてシリコン-鉛間の鉄の分配比を同温度で測定し以下の分配比を測定し、回帰分析によりシリコン中鉄の無限希薄状態における活量係数としてγ^0_<Fe(I)-Si>=2.85x10^<-2>、相互作用係数としてε^<Fe>_<Fe in Si>=3.17、ε^<Fe>_<Pb in Si>=14.1を得た。またシリコン-チタン二元系溶液の混合自由エネルギー変化として以下の関数を得た。 ΔG^M_<Si-Fe>=-135X_<Fe>+791X_<Fe>^2-4420X_<Fe>^3 (kJ/mol) (X_<Fe><0.075) 以上、溶融シリコン中でのリン、チタンおよび鉄の熱力学的性質を明らかにし、その除去の検討に非常に有用な知見を得た。
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