燃料電池に用いられる多孔質電極内における触媒表面反応に伴う熱と各化学種の移動現象を、多孔質電極表面に沿う空気または燃料の流れと関連させて、特にミクロな視点に立って、局所の流れ、熱移動および物質移動を解明することを目的として、実験的検討ならびに数値解析的検討を行ない下記の結果を得た。 1. BK7光学ガラス粒子の充填層(多孔質体)表面に沿って光学ガラスと屈折率の等しい流体を流し、充填層内の速度分布をレーザー・ドップラー流速計で測定し、多孔質内の局所の流体の挙動と多孔質表面に沿う流れとの関係を求めた。 2.ミクロな流体モデルである格子気体モデルを用いた数値シミュレーションにより多孔質内の流動解析を行い、多孔質内の局所的な流動および伝熱と空隙率との関係を求めた。 3.多孔質体としてニッケルの焼結体を用い、その表面に沿って黄血塩、赤血塩のアルカリ水溶液を流し、多孔質体を電極として、フェリシアンイオンの還元反応を行わせ、多孔質電極内におけるフェリシアンイオンの移動速度を測定し、多孔質体と流体との間の局所の物質移動係数を求めた。 4.ミクロな流体モデルである格子気体モデルを用いた数値シミュレーションにより多孔質内の熱および物質移動の解析を行い、多孔質内の局所的な伝熱係数および物質移動係数を求めた。
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