本研究は、気体包接化合物の特徴を利用して地球温暖化対策とエネルギー資源問題をリンクさせるという複合的な技術開発の一環として、さきに提案した本プロセス(深海底地中に存在する天然ガス包接化合物に二酸化炭素を接触することにより分解させ、天然ガスを採掘しながらその地点に二酸化炭素を気体包接化合物として貯蔵する技術)の実現可能性に関して熱力学的側面-相平衡関係・熱収支・反応特性-から検討するための基礎情報を得ようとするものである。 混合気体の包接化合物を含む高圧力下での相平衡関係を測定する技術を開発し、測定の結果固相に対する気相の天然ガスの比揮発度が約2.5となり、気体包接化合物中では二酸化炭素が天然ガス成分を追い出し選択的に気体包接化合物を生成することを初めて実験的に明らかにした。このことにより、平衡論的には本プロセスが成立することが確認された。 天然ガスの生産速度と二酸化炭素の供給速度に関する基礎情報として重要な各気体包接化合物の生成・分解反応速度を測定することを試みた結果、二酸化炭素・天然ガス成分ともその生成・分解反応が類似の反応速度式で表現され、3相共存平衡点でのフガシティー差の絶対値の一次に比例すること確認した。次のステップは混合気体の包接化合物について検討する必要がある。
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