本研究では、深海底のCH_4 hydrate fieldから天然ガスを採掘すると同時にCO_2を貯蔵するプロセスの実現可能性を熱力学的側面から検討する。すなわちCO_2のhydrateの反応熱を利用して天然ガスを生産し、その地点にCO_2をhydrateとして貯蔵する(エネルギー資源問題と地球温暖化問題とのリンケージ)プロセスを検討し、必要な基礎情報(超臨界状態のCH_4とCO_2混合物およびgas hydrateを含む混合系の平衡関係や混合hydrateからの天然ガス生産速度など)を得ることを目的とする。 1.高圧力下でのCH_4 hydrateの熱力学物性と反応特性の実測:CO_2およびCH_4 hydrateを含む系の熱力学的物性(100MPaまでの三相共存曲線)と反応特性(反応速度式と速度定数)を温度サイクル法により明らかにした。 2.混合(CH_4+CO_2) hydrateの平衡関係の実測:CH_4+CO_2+H_2O混合系の臨界軌跡・高圧相平衡・hydrateとの4相共存曲線などを明らかにし、CH_4の分配係数を決定した。 3.純枠CH_4 hydrate塊からの天然ガス採掘模擬実験:予め作成したCH_4 hydrate塊を高圧容器に入れ、高圧のCO_2流体を導入する。容器内圧力・温度を一定に保ちながらCH_4とCO_2混合流体を取り出し、取り出し速度と組成分析から天然ガス生産速度を求めた。 本研究で明らかにしたことを纏めると、(1) CO_2とCH_4 hydrateを含む系の高圧相平衡・反応特性を実測し、(2) CH_4+CO_2混合hydrateの流体とhydrate相との分配平衡と温度・圧力関係ならびに混合系の臨界軌跡と3相・4相共存曲線を明らかにし、(3) CH_4 hydrate塊からCO_2を利用してCH_4流体を取り出す模擬実験により、天然ガス生産速度と温度・圧力との関係を明らかにした。
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