二酸化炭素を用いる超臨界乾燥装置の組立と調整を行い、50〜140気圧、30〜50℃で、二酸化炭素へのイソプロピルアルコールおよび水の溶解度の測定を行い若干のデータを得た。高圧化での気液平衡関係を数種の熱力学的モデルにより求め、実測の溶解度のデータとの比較検討を行い、溶解度の推算を行い、超臨界乾燥の操作条件を決めた。次いで、平成8年度の研究で得られた方法、すなわち、無水塩化イットリウム、金属バリウム、無水塩化第二銅、およびイソプロピルアルコールを出発原料として、それぞれのイソプロポキシドのイソプロピルアルコール溶液を作り、この三種のイソプロポキシド溶液をよく混合してから同時加水分解して、Y-Ba-Cuの複合酸化物の懸濁液を作った。 この懸濁液を超臨界乾燥して微粉体を得た。この超臨界乾燥実験で得られた乾燥粒子は期待に反し、BaCO_3を含有しているが、粒子径は予想通り0.025〜0.25μmと微細であり、一応の成果が得られたので、第47回カナダ化学工学会議(平成8年9月、於Kingston)において"An Experimental Study of Supercritical Fluid Drying of Y-Ba-Cu Oxides Powder from Aqueous Alcohol Suspension Using Carbon Dioxide"と題して発表した。また、"YBCO系高温超伝導体用金属酸化物懸濁液の超臨界二酸化炭素による乾燥"と題して化学工学会第29回秋季大会(平成8年9月、於京都)で発表した。 これらの発表内容をまとめ、現在、投稿準備中である。
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