研究概要 |
伝熱の形態が管内および管外で異なる再生器用伝熱管の高性能化において,平成7年度は特に管内側における強制対流熱伝達の性能向上を主目的とした実験を行った. 実験は,比較の対象となる管内にリブが存在しない平滑管における伝熱および圧力損失の実験をまず行ったほか,管内に設置するリブの数(10,20,30),リ-ド角(25,34,43度)およびリブ高さ(0.2,0.4,0.6mm)など,リブ形状のパラメータを種々変える予定の伝熱管のうち,管内径14.8mm,リブ数20,リ-ド角34度およびリブ高さ0.4mmの管内リブを有する伝熱管一種類を試作し,伝熱および圧力損失特性の測定を行い,リブ設置による伝熱性能の向上効果を明らかにした.これまでに得られた知見は以下の通りである. (1)管内熱伝達係数の測定には加熱用ヒ-タが必要であるが,本実験では銅管外表面に幅10mm,厚さ30μmのステンレス箔を,絶縁体としての両面テープを介して螺旋状に巻き付け,これに通電して加熱する方法を採用した.平滑管でこの方法による伝熱実験を行った結果,従来の平滑管内単相熱伝達係数の整理式であるColburnの式とほぼ一致していることから,この測定方法の妥当性が検証された. (2)管内リブ付管の実験については,圧力損失は平滑管に比べて2倍ほど増大するが,伝熱性能も約2倍前後の性能向上が見込めるなど,良好な結果が得られた. 以上のように,平成7年度に計画した管内側伝熱性能の高性能化については,試作を予定した各種リブ形状の中には,製造がやや難しいものもあり,新しい工作治具の製作および製造工程の調整に手間取った.しかし,予定したリブ形状の伝熱管試作にようやく着手でき,平成8年度当初には予定したすべての形状を有する伝熱管が完成する見通しであり,引き続き実験を行い,リブ形状の最適化を行う予定である.
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