研究課題/領域番号 |
07650920
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
反応・分離工学
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
中野 義夫 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 教授 (30092563)
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研究分担者 |
清田 佳美 東京工業大学, 大学院・総合理工学研究科, 助手 (60216504)
中崎 清彦 静岡大学, 工学部, 助教授 (70180263)
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研究期間 (年度) |
1995 – 1996
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キーワード | 環境感応型高分子ゲル / 自律応答機能 / 物質移動 / 膨潤・収縮速度 / 温度スイング / 吸着 / 酵素活性 / ACTIVITY OF ENZYME |
研究概要 |
1.感温性ゲルの物理化学的構造と動特性: 主鎖濃度、架橋剤濃度の異なる種々のN-イソプロピルアクリルアミドゲル(感性ゲル)を合成し、種々の温度場におけるゲルの膨潤収縮体積を測定した。種々の温度操作におけるゲルネットワークの拡散速度を理論モデルによって定量化した。ゲルの物理的構造は主鎖濃度、架橋度に強く依存することが分かった。収縮過程において、主鎖濃度および架橋度の低いゲルは濃度刺激に対して急激に表面にスキン相を形成する結果、応答速度は極めて小さくなることが分かった。すなわち、収縮過程におけるゲルの応答性は、温度操作(伝熱過程)に依存する。膨潤過程におるゲルの応答性は、温度操作にたいする依存性は小さく、ゲルネットワーク固有の拡散速度に支配されていることが分かった。ゲルの化学的構造特性として、親疎水的バランス変化をモデル有機分子の吸着量から定量化した。ゲル近傍ならびにゲル内においてゲルが疎水化する高温域において疎水的な分子はゲルに引き寄せられ吸着されることを明らかにした。この吸着過程はゲル粒子の境膜物質移動過程が律速することが分かった。 2.ゲルの動的挙動と固定化酵素の活性: ゲル内に固定化されたインベルターゼの活性に及ぼす温度刺激の効果を検討した。温度操作によりゲルの網目孔径を制御し、基質のゲル内流入を調整することによって、酵素活性を制御できることが分かった。激応答型高分子ゲルに固定化した酵素活性に及ぼすゲルの動的挙動の効果を検討した。この結果、ゲルの動的挙動を制御する(温度スイングによりゲルを脈動させる)ことによって、酵素活性の制御・向上を図ることが可能であると分かった。酵素活性に及ぼすゲルの操作条件として、次の操作が有効であると分かった。(1)ゲルの膨潤収縮の幅。(2)ゲルの収縮状態の時間。(3)ゲルの膨潤・収縮速度。従って、膨潤収縮挙動が三角波を描くような脈動を起こすことが酵素活性向上の最適条件となることが示唆された。これらの結果から、スキン相を形成せず、応答速度ならびに膨潤収縮の変位の大きなゲルの分子設計、応答速度を速くする操作条件に関する知見を得た。
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