研究課題/領域番号 |
07650925
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
佐藤 恒之 九州大学, 機能物質科学研究所, 助教授 (80170760)
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研究分担者 |
秋山 泰伸 九州大学, 機能物質科学研究所, 助手 (10231846)
今石 宣之 九州大学, 機能物質科学研究所, 教授 (60034394)
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キーワード | CVD / 反応工学 / シミュレーション / YSZ |
研究概要 |
本研究は、2成分以上の多成分系CVDにおけるCVD反応機構や成膜機構を把握するために、分子原子スケールでCVD機構を検討することならびに複酸化物の成膜実験により膜組成等へ及ぼす諸因子の影響を検討することを目的としている。本年度はおもに、操作パラメータを種々変化させた場合の複酸化物成膜速度や膜組成の測定結果をもとに、モンテカルロ法に基づき分子レベルで成膜機構の検討を行ったので報告する。このことは、よりミクロなレベルでの解析、すなわち分子動力学法に基づく多成分CVD成膜プロセスのモデル化の妥当性などを検討する際、きわめて重要な知見を与えるものと考えられる。成膜対象としてβジケトン金属錯体であるZr(DPM)_4およびY(DPM)_3を原料とする、ZrO_2およびY_2O_3の複酸化物、Y_2O_3安定化ZrO_2(YSZ)のCVDを取り上げた。長さ30cmほどの反応管内壁へ析出したマクロなスケールの成膜速度分布および幅、深さともに数μm程度の溝(ミクロトレンチ)内部に析出した膜の形状および組成分布から析出機構の推定を行った。以下、得られた知見を列挙する。 (1)気相中に両原料から生成した成膜前駆体同士によるアダクトが形成されるとするならば、ミクロトレンチ内部の膜組成に分布が生じないものと予想されるが、実際の成膜時には分布が生じており、成膜へのYSZアダクトの影響はないことがわかった。 (2)表面反応過程は、2成分がそれぞれの単成分表面上に成膜する場合と、YSZ上に成膜する場合とで異なることが予想された。しかし単成分に対して得られた表面反応速度を用い、両成分の成膜速度の線形結合を仮定して算出したYSZ成膜速度の予想値が、実験的に得られた組成分布とほぼ一致することから、成膜速度に及ほす異種表面の影響は本系においては小さいことがわかった。
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