水素製造を目的とする炭化水素の水蒸気改質のための高機能触媒の開発を図るために、申請者らは従来のニッケル系触媒に代わる触媒としてジルコニアにロジウムやルテニウムを担持した触媒が低温・低水蒸気比で非常に高性能を示すことを見い出しており、さらに貴金属が炭化水素の活性サイトとなり、担体のジルコニアが水蒸気の活性サイトとして機能することを見い出している。 平成7年度は、より一層の高機能化を目的として、第二成分を含むジルコニアの高表面積化と担体上のロジウムの高分散化を図った。その結果、ゾル-ゲル法によって比表面積を制御した高比表面積をもつジルコニアとジルコニアーイットリアに含浸法でロジウムを担持した触媒が、n-ブタンの水蒸気改質反応にきわめて高い活性を示すことが明らかになった。 平成8年度は、Rh/ZrO_2触媒上でのn-ブタンの水蒸気改質反応の反応機構を調べることを目的として、in situ加熱拡散反射(DRIFT)法と昇温脱離(TPD)法を用いて種々の測定を行なった。その結果、DRIFT測定から本反応の反応中間体がギ酸種であり、Rh/ZrO_2触媒上に生成したギ酸種が低温で速やかに消失することを見い出した。さらに、塩基性表面水酸基が反応性に豊むこと、TPD測定から、Rh/ZrO_2触媒の酸強度が弱く、塩基強度が強いことが明らかとなり、このことは流通法で得られたRh/ZrO_2触媒のすぐれた性能と調和するものであった。
|