研究概要 |
1.シンコニジン修飾Pd触媒による(E)-α-フェニルけい皮酸の不斉水素化反応 (1)アルミナ,シリカ,チタニア,ジルコニア,および,活性炭に担持したPd触媒について,最適条件下で活性・選択性を比較した.その結果,200℃で1h還元したPd/TiO_2が最も有効であることがわかった. (2)担体の構造,不純物含有量,調製条件などの異なるPd/CおよびPd/TiO_2触媒の選択性を比較した結果,触媒中に残存する塩素は反応活性に影響するが,残存塩素量と選択性とは必ずしも相関関係をもたないこと,また,担体の表面積は大きくない方がよいことがわかった. (3)担体の性質により溶媒効果の水の添加効果において若干の相違がみられた. (4)触媒前処理条件および反応条件の最適化により,生成物の光学収率が,Pd/CについてはPerezらの報告の30%から49%に,Pd/TiO_2については53%から58%にそれぞれ向上した. (5)本研究の補助金による施光度検出器の導入により,上記の光学収率はe.e.として表すと2-5%向上し、最高値は70%に達することがわかった。 2.反応機構の検討 反応基質および修飾剤の各種担体上の吸着量を測定したところ,担体による差が極めて大きいことがわかった.今後,触媒上の吸着量と吸着の強さの測定および溶媒効果との関連をさらに詳しく調べることにより,不斉発現のメカニズムを考察する計画である.また,反応条件の影響や反応の経時変化に基いて速度論的に検討中である.
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