研究概要 |
a.分化誘導因子TPAとDMSOを比較すた結果、TPAは各細胞に約30%の分化能を与えたが、毒性が高いため、5日目に過ぎると、死細胞数が増えてきた。一方、DMSOの分化能が20%前後に見られ、生細胞数が維持できるため、長期使用する場合はTPAより適当と考えられる。 b.ロゼット法により細胞表面のレセプターの検出が、細胞の凝集が起こるのため、補体感作赤血球との結合が観察し難くなった。一方、抗体蛍光法とwestern-blotting法はC3bレセプター(略称CR1)を検出できた、さらにFlow Cytometry法を用い、上述の両方法のレセプター検出の一致性を確認した。各細胞の分化誘導結果は、HL-60細胞は他の細胞より、0.8-1%DMSOに対しレセプターの発現量が高いことが認められた。なお、誘導された循環血液細胞を長期培養するとC3bレセプターの保持が不安定であることが観察された。今後、C3bレセプターをコードするcDNAを循環血液細胞に導入して、レセプターの発現安定性を高く維持できる網内細胞を作る予定である。 c.ss(single strand)DNAとds(double strand)DNAを用い、正常動物を免疫した結果、ssDNAだけは免疫応答を起こした。得られた12個のハイブリドーマの産生抗体はssDNA,dsDNAともに免疫反応があることが見られた。また、抗体のisotypeを調べたところ、殆どがlgM subclassであることが分かった。これに対して、自己発症マウスから得た15個のハイブリドーマははlgG1,G2b,G3及びlgM四つのタイプの抗体を持ち、ssDNA,dsDNAとも反応した。今後は免疫沈着により発症の高いlgG1タイプの抗体を用い、DNAと反応して、免疫複合体を作成する予定である。
|