凝集性細胞および凝集性を持たせた非凝集性細胞(凝集剤としてキトサンを添加)は短時間でヘチマ繊維体に十分に固定化され、ヘチマ繊維体の孔隙で高菌体濃度まで増殖することを確認した。また、ヘチマ繊維体を設置したリアクターにカビ胞子を接種したところ、胞子の発芽後、菌糸はヘチマ繊維体の孔隙で良く増殖することも明らかとなった。 ヘチマ繊維体を用いたバイオリアクターの作製方法と物質移動特性に関する検討を行った結果、ヘチマ繊維体を自然の筒状のもので形成した充填層は、物質移動が良く、好気性発酵プロセスに適しているものと推定された。一方2cm角にカットしたヘチマ繊維体で形成された充填層は充填率を増加させることができ、嫌気性発酵プロセスに有効であると推定された。 凝集性(S.cerevisiae IR2)および非凝集性酵母(C.brassicae)をそれぞれヘチマ繊維体に固定化し、気泡塔型培養装置でシュークロースおよび廃糖密からのエタノール生産を行った。筒状またはカットしたヘチマ繊維体の充填層に固定化したS.cerevisiae IR2およびC.brassicaeを用いた繰り返し回分培養および連続培養を行った結果、500時間以上の培養が可能であったが、カットしたヘチマ繊維体を用いた場合は筒状のヘチマ繊維体を用いた場合と比較して生産性は2倍以上増加した。以上の結果より嫌気性発酵プロセスではカットしたヘチマ繊維体を用いることが適していることが明らかとなった。 現在、自然の筒状の繊維体にカビ(Aspergillus awamori)を固定化し、好気的な条件下でアミラーゼ生産の検討を行っており、予想通り好結果が得られつつある。
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