研究概要 |
現在一般的に行われている接着性動物細胞の培養は、シャーレやマイクロビーズの表面等の固体壁に接着させることによっている。ところが、培養細胞を回収する場合には、酵素を使って固体壁から剥がす必要があること、さらに、あくまでもin vitro培養であるために細胞も性質も変えてしまう場合が多い。 そこで、本研究においては、液液界面(油/培養液界面)に細胞を接着させ、動物細胞を器壁からfreeな状態でin situ培養する試みを行った。 (1)先ず、油相の種類と接着特性の関係を求め、毒性がない限り油相の種類は大きな問題ではなく、界面に存在する界面活性物質の種類と量に依存することがわかった。 (2)界面活性剤と細胞外マトリクスが結びつき、それに細胞が接着するため、界面活性剤の濃度によって接着状態を変化させ、細胞の形態をコントロールできることがわかった。 (3)液液界面上では器壁に比べて足場の進展は少ないが、細胞-細胞間の接着がみられ、集合体の存在が確認された。 (4)次に、エマルジョンの生成のための実験的検討を行い、なるべく粒径が揃っていることがその後の細胞の回収のための解乳化操作を考えた場合に有利であること、エマルションの維持に技術的問題が残ることなどがわかった^*。 (5)油相/培養液(O/W)系エマルション、その逆の培養液/油相(W/O)系エマルションの双方ともに培養が可能であり、平面界面をしのぐ細胞数の増加が見られた。 ^*Sato,M.,Hishinuma,T.,Tcrachi,K.,Hatori,T and Saito,M. : "Electrostatic mono dispersion of insulating and viscous liquid in distilled water," Electrostatics'95 (9th Interantional Conference),P1.21,pp.65-66 (York,1995)
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