まず、パン酵母、大腸菌等の好気性微生物反応における気液接触面積の重要性を定接触面積型の振盪培養法により検討した。次いで、発泡による気液接触面積の増大が期待されるMFRD装着気泡塔型バイオリアクター(以下、BCBと略記)を用いて、機械的泡制御下におけるパン酵母の発泡培養を試みた。更に、機械的消泡系と消泡剤添加系におけるパン酵母の培養特性の違いを投入動力の大きさと関連づけて検討・考察を行った。 往復並びに回転振盪培養では微生物の増殖・代謝に及ぼす消泡剤(5種類変化)の影響はほとんどないこと、言い換えれば、消泡剤を添加したガス吹き込み式リクターの性能の低下は気泡の合一による気液接触面積の減少に基づく酸素移動速度の低下によるものであり、ガス吹き込み式リアクターを用いる発泡性微生物反応では、消泡剤を添加することなく、発泡による気液接触面積の増加現象をむしろ有効に利用した方がよいことをまず明らかにした。次いで、MFRD装着BCBでは消泡剤の添加なしに泡制御下でパン酵母の培養が可能であること、また消泡剤添加系との培養特性の比較については、同一通気量において機械的消泡系の方が、十分な酸素供給が行われ、エタノールの消費並びに菌体の増殖も速やかであることを明らかにした。更に、全投入動力を等しくした場合の両操作系の培養経過の比較については、機械的消泡系の方が菌体は順調に生育し、増殖の動力効率も高いことを明らかにした。
|