Xanthomonas campestris K-11151のα-アミラーゼは澱粉だけでなく、プルランやサイクロデキストリンをも強力に分解するユニークな酵素である。本研究ではこのユニークな性質と構造との関係を見出すために、1__<_>本酵素の6番目のループの部分的な削除による基質特異性の改変、2__<_>本酵素の結晶化、3__<_>本酵素の自然酸化による失活の原因追求と耐酸化酵素への変換の三点について検討した。結果を以下に述べる。1__<_>本酵素は他のアミラーゼと比較して、活性部クレフトを構成している2番目のループが短く、4番目と6番目のループが長いと予測された。そこで本酵素遺伝子の6番目のループに相当する部分を4、8、12アミノ酸残基削除した3つの変異酵素DNAを持つプラスミッドを構築し大腸菌に導入した。発現された酵素を精製し、それらの作用を調べたところ、4残基削除することによりグリコーゲンに対する選択性が5倍、8残基削除では20倍上昇した。この事はXCPAMY活性中心付近に存在する6番目のループが長いことがグリコーゲンに対する立体障害となっていたことを強く示唆するものである。2__<_>精製酵素をハンギングドロツプ法で結晶化した。酵素終濃度10mg/ml、ドロップとリザーバーの硫酸アンモニウム濃度を各々10%、15%、pH4.5、20℃において単結晶を得た。3__<_>本酵素中にはシステインは存在しないため、次に酸化されやすいメチオニン(成熟酵素中に9残基)が酸化・失活の原因と考えた。類似酵素との一次構造の比較、高次構造の予測により82番目のメチオニンをターゲットとした。これをアラニンに置換した変異酵素遺伝子を作成し、大腸菌に導入した。精製した変異酵素は、強力な酸化剤存在下でも完全に活性を保持した。この事は82番目のメチオニンが酸化失活の原因である事を示しており、これをアラニンに置換することにより耐酸化能を付与することができた。
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