研究課題/領域番号 |
07650968
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 熊本工業大学 |
研究代表者 |
上岡 龍一 熊本工業大学, 工学部, 教授 (70099076)
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研究分担者 |
迫口 明浩 熊本工業大学, 工学部, 助手 (30196141)
松本 陽子 熊本工業大学, 工学部, 講師 (00133562)
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キーワード | 不斉加水分解 / エナンチオマー / アミノ酸エステル / 分子集合体 / イオン強度 / ベシクル膜 |
研究概要 |
カチオン性界面活性剤を素材とするヘキサデシルトリメチルアンモニウム=ブロミド(CTAB)ミセル、ジテトラデシルジメチルアンモニウム=ブロミド(2C_<14>Br)ベシクル膜、および41mol%CTAB/59 mol%2C_<14>Brハイブリッド膜を疎水性反応場として、活性トリペプチドZ-L-Phe-L-His-L-Leu触媒を組み込み、長鎖エナンチオマー基質の不斉加水分解反応を試みた。 反応の制御因子としてイオン強度を取り上げた。CTABミセル系では、イオン強度μ=0.04-0.20の範囲で、L体、D体基質ともに速度定数の変化はほとんどなく、不斉選択性も約20倍とほぼ一定であった。 2C_<14>Brベシクル膜系では、L体基質の速度定数は、μ=0.015からμ=0.03にかけて増大し、D体基質では大きな変化はなかった。結果として、不斉選択性は、L体基質を最も大きく加速したμ=0.03の条件で最大値L/D=67が得られ、L体支配型の制御反応系となっている。ベシクル膜のサイズや疎水性、流動性がμ=0.03を境界に変化することも明らかとなった。静的平衡状態にあり、液晶性反応場であるベシクル膜では、溶存イオン(Cl^-)と膜分子のカチオン性ヘッドグループ間の静電的相互作用により分子集合体としての膜物性が変化し、人工酵素の触媒作用に影響を及ぼしたと思われる。一方、41mol%CTAB/59mol%2C_<14>Brハイブリッド膜系では、L体基質の速度定数が、ベシクル膜系と同様にμ=0.03付近で増大する傾向が見られ、D体基質では逆に減少し、μ=0.02で極小値を示した。すなわち、このハイブリッド膜系では、D体支配型の立体制御であり、最適イオン強度μ=0.02においてL/D=1000と極めて大きな値が得られた。
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