視斜角CEMSの開発と酸化スズ系半導体の層別状態分析

1995 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 07650973
• 研究種目: 一般研究(C)
• 研究機関: 東京大学
• 研究代表者: 野村 貴美 東京大学, 大学院・工学系研究科, 助手 (40124680)
• キーワード: ^<119m>Snメスバウアースペクトル / 転換電子検出器 / 視斜角CEMS / 低入射角CEMS / 酸化スズ膜 / インジウム・酸化スズ(ITO)

研究概要

^<119>Snの内部転換電子のエネルギーが19,6keVと高いために23.8keVのγ線を低入射角で試料表面に照射できるようにゴニオと視射角転換電子メスバウアー分光(CEMS)のガスフロー比例計数管検出器を試作した。試作した検出器は、試料面から入射角5°以下で可変して23.8keVのγ線が入射できるようにX軸ゴニオメータ上に設置され、電子検出のためのHeチェンバーとX線検出のためのArガスチェンバーの二重構造型とした。800Åの試料に対して入射角5°でもHeガスフロー比例計数管による電子検出によるCEMS測定は、十分可能であることが確かめられた。ただし、共鳴散乱X線の検出では現在のところ統計的に十分なデータを得るまでに行かなかった。低入射角でγ線を照射するには、ある程度線源と検出器の距離を長くしなければならない。そのためにγ線のフラックスが減少する。そこで固体試料から放出される転換電子のエネルギーを弁別しながら同時にメスバウアースペクトルが得られるように線源のトランスジューサのコントロール信号を最大4つのマルチチャンネルスケーラに同期させ、データが入力できるようにシステムを改良した。金属スズと酸化スズの多層膜のエネルギー弁別によるCEMSの同時測定の準備を行った。透明電極半導体材料であるインジウム・酸化スズ(ITO)についてスズの化学的環境について検討し、薄膜試料の基礎解析の準備を行った。ITO中のインジウム原子に置換し得るスズ原子は、その電場勾配が異なる2種のタブレットピーク(bサイとトdサイト)に分離される。さらにインジウム原子に置換し得ないスズ原子のメスバウアーピーク成分を求め、これらの強度とスズ含有量との関係が求められた。スズ含有量が5%以上でbサイトのダブレットピーク強度は飽和し、dサイト及び置換していないスズ原子の割合が増加することがわかった。その他、CEMSの応用について広く文献調査し、レビーを行った。

研究成果

• [文献書誌] K.Nomura et al.,: "Au,Feイオン注入したSnO_2膜のガスセンサー特性" Japan Association of Chemical Sensors,The Electrochemical Society of Japan.11,Supp.A. 1-4 (1995)
• [文献書誌] K.Nomura et al.,: "Applications of conversion electron Mossbauer spectrometry." J.Radioanalytical and Nuclear Chemistry,Articles.191. 103-199 (1996)
• [文献書誌] K.Nomura et al.,: "CO_2 Absorption Properties and characterization of Perovskite oxides,(Ba,Ca)(Co,Fe)O_<3-d>." Applied Catalysis. A101(in press). (1995)
• [文献書誌] K.Nomura et al.,: "Magnetic structure of Fe-Si-Al films implanted with Al and N ions." Journal of Radioanalytical and Nuclear Chemistry,Articles. 190. 299-313 (1995)
• [文献書誌] K.Kurosawa et al.,: "Characterization by CEMS,XRD,and XPS of Oxidized Layers Formed on the Surface of Carbonitrided Low-Carbon Steel." Materials Characterization. 34. 241-249 (1995)
• [文献書誌] K.Nomura et al.,: "CEMS study of magnetic structure of Fe-Si-Al film implanted with Al and N ions." II Nuovo Cimento,(Proceeding of ICAME-95).180(in press). (1995)
• [文献書誌] K.Kurosawa et al.,: "CEMS and XMS study of carbonitrized stainless steel." II Nuovo Cimento,(Proceeding of ICAME-95).180(in press). (1995)
• [文献書誌] K.Kurosawa et al.,: "Characterization of oxidizedlayers formed on the surface carbonitrized carbon steel by CEMS,XRD,and dXPS." II Nuovo Cimento,(Proceeding of ICAME-95).180(in press). (1995)