研究課題/領域番号 |
07650980
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
大賀 一也 大分大学, 工学部, 教授 (60037992)
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研究分担者 |
倉内 芳秋 大分大学, 工学部, 助手 (60117398)
江頭 直義 大分大学, 工学部, 助教授 (90094060)
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キーワード | キラル分離 / キトサン / β-シクロデキストリン / 高速液体クロマトグラフィー / キャピラリー電気泳動 / DNP-α-アミノ酸 |
研究概要 |
一つのグルコースユニットの6位ヒドロキシル基をアミノ基に変換したβ-シクロデキストリン(β-CD)とN-(カルボキシメチル)キトサンとの縮合反応によってβ-CD修飾キトサン(β-CD-NCMC)を調製した。β-CD部位の導入率は、最大約85%を得ることができた。 このβ-CD-NCMCをスペーサーを通してシリカゲル表面に共有結合し、HPLCのキラル固定相として用いた。脂肪族α-アミノ酸のDNP誘導体のキラル分離では、アルキル鎖の長さやかさ高さが増すと大きな容量比および分離係数が得られた。芳香族α-アミノ酸の場合、DNP-Trpで6.11の大きな分離係数が見られ、また、種々のDNP化芳香族ラセミ体を用いた検討から、ラセミ体の二つの芳香環の間の距離と水素結合の存在がキラル分離の重要な因子であることを明らかにした。さらに、β-CD部位の導入率が低いβ-CD-NCMCでは、キラル分離を得ることができなかった。これらの結果は、β-CD-NCMCのキラル識別能が、キトサン骨格上に規則正しく配置された二つのCD環による二つの疎水部の同時包接とβ-CD部位あるいはキトサン骨格上の水素結合部位との水素結合で発現されていることを示唆している。このことは、会合体の^1H NMRスペクトルによっても支持され、また、個々のCD環への包接はごく浅いものの、β-CD自身の包接より強いことも分かった。この安定な包接錯体の形成は、おそらく二つのCD環への同時包接によるものと推測される。 次いで、水溶性のβ-CD-NCMCをキラルセレクターとするキャピラリー電気泳動を試み、HPLCの場合と類似のキラル分離を達成することができた。その際、カチオン性ポリマーであるβ-CD-NCMCは溶融シリカ内壁に吸着し、電気浸透流を逆転させた。
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