1.極低温ガンマ線照射専用クライオスタットの改造を行った。液体ヘリウム温度にて30〜40時間のガンマ線照射を行うべく、液体窒素を1時間ごとに自動補給する装置を作った。これに併せて、照射専用クライオスタットの一部改造も行い、システムが良好に作動することができた。 2.フラーレン(C_<60>)を内包するY-シクロデキストリン試料を作成し、極低温および室温にてガンマ線照射し生成したフラーレンラジカルアニオンの分光測定を行った。電子スピン共鳴測定、分光吸収測定のデータをもとに、ラマン散乱の分子内および分子間振動モードの変化を対応ずけた。 3.ラマン散乱データの解析は20〜250cm^<-1>領域で主として行うため、(イ)ボ-ズ・アインシュタイン因子の波数・温度補正を行い.(ロ)照射前後のラマンスペクトルの差スペクトルを行うための解析ソフトの一部修正・改良を行った。 4.フラーレンラジカルアニオンの前駆体の存在の可能性を探求したところ、余剰電子は包接ホスト分子には局在せず、フラーレン分子にすでに局在することが明かになった。
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