研究概要 |
二酸化炭素の電気化学的固定化において、反応の選択性を実現し、所望の生成物を得ることが出来れば実用上、大きな意義がある。また、実用上避けて通れない問題は、電極の劣化をどう防ぐかである。本申請者が提案したパルス電解は、この2つの目的を達する上で有効であることが明らかにされた。パルス電解とは、通常の定電位電解、定電流電解と異なり、外部バイアスを矩形パルスとし、カソ-ディクバイアスV_Cとアノ-ディクバイアスV_Aを交互に印加するもので、例えば、通常の電気化学還元のようにカソードバイアスを定常的に印加することによて反応が最終まで進行して炭素になるのを意図的に止め、中間生成物から、所望の生成物を得ようとするものである。V_C、V_A及びその周期T_C、T_Aの最適化によって銅、銀電極上で、メタン(CH_4)、エチレン(C_2H_4)及水素(H_2)の収率を変えることに成功した。特に銀の主たる生成物はCOとされていたが、銅電極と同様CH_2、C_2H_4が生成されるほか、C_2H_5OH等アルコールも生成され,しかも、バイアスによってそれらの相対収率が大幅に変化する。以下のようなカソードバイアスV_CとアノードバイアスV_A条件下で種々の生成物最大収量が得られた。CO(70%:V_C=2.0V,V_A=-0.125V),CH_4(55%:V_C=-2.25V,V_A=-0.4V),C_2H_4(3.1%:V_C=-2.25V,V_A=-0.4V),C_2H_5OH(22%:V_C=-2.25V,V_A=-0.5V)。 電極の劣化が防げ長時間電解が可能なことも再確認された。 次年度以降は、金、および金、銀、銅の合金について行う予定である。
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