研究課題/領域番号 |
07651006
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
山元 公寿 早稲田大学, 理工学総合研究センター, 助教授 (80220458)
|
研究分担者 |
小柳津 研一 早稲田大学, 理工学部, 助手 (90277822)
土田 英俊 早稲田大学, 理工学部, 教授 (90063461)
|
キーワード | バナジウム錯体 / 複核錯体 / 一段階多電子移動 / 酸素還元 / X線結晶解析 / μ-ジオキソ構造 / 平面配位子 / 電極反応 |
研究概要 |
バナジルサレン複核錯体を電子移動担体として作動させると、0.3Vでの酸素4電子還元が可能となる。本年度はバナジウム複核錯体の酸化還元電位を配位子を変えて制御し、酸素4電子還元の熱力学電位に調節することによりこれを電子移動担体として利用することを目的として、当初の計画に基づき研究を実施した。 置換不活性な平面配位子(サレン、アセチルアセトン、ポルフィリン、ジチオカルバメート)を選択、対応するバナジル錯体を合成しサイクリックボルタンメトリーにより酸化還元電位を正確に決定した。また従来確立された方法を用いて、トリフルオロメタンスルホン酸あるいはトリチルテトラフルオロホウ酸塩との反応によりこれらの複核錯体合成を実施、シッフ塩基錯体の場合対応するバナジウム複核錯体を効率よく得ることが出来た。設定電位を変えたバルク電解あるいは還元剤の添加により、低酸化状態の複核錯体の単離が初めて可能となった。 これまでに酸素4電子還元の生起が実証されたバナジウムサレン系複核錯体を対象に、X線回折法を用いて酸素還元サイトの構造解析を実施した。低酸化状態のバナジウム複核錯体では不均化反応が生起しないため、良質の錯体単結晶を得ることが出来た。近赤外スペクトルより混合原子価バナジウムの電子状態と非局在化率、X線結晶解析より酸素還元活性なバナジウム(III)の配置と配位環境が明らかとなり、酸素錯体の構造と生成機構を推定する有力な手懸かりを得た。また、このバナジウム複核錯体と酸素との反応を類似の平面配位子(salpn)を有するモデル錯体を用いて解析、反応次数の考察からμ-ジオキソ型の中間体を経由する電子移動機構が推定された。
|