研究課題/領域番号 |
07651008
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 奈良工業高等専門学校 |
研究代表者 |
泉 生一郎 奈良工業高等専門学校, 化学工学科, 教授 (50043477)
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研究分担者 |
片倉 勝己 奈良工業高等専門学校, 化学工学科, 講師 (80169466)
京兼 純 奈良工業高等専門学校, 電気工学科, 教授 (50043469)
大西 康幸 奈良工業高等専門学校, 化学工学科, 技官
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キーワード | 光化学ダイオード / 光エネルギー変換 / 光化学反応 / 二酸化炭素 / 還元反応 / 酸化チタン / 半導体電極 |
研究概要 |
本研究では、光エネルギー変換素子としての「生成物分離型光化学ダイオード」の動作機能を確認するとともに、二酸化炭素の還元により有機化合物を合成することを具体的な目的としている。 先ず、チタン金属板の片面を焼成により酸化チタン半導体薄膜とし、これで2種の電解質溶液を仕切り2室セルとした「生成物分離型光化学ダイオード」を作製した。その酸化チタン側に硫酸カリウム水溶液、チタン金属側に炭酸水素カリウム水溶液を入れて、酸化チタン半導体面へのXe光照射を行うと裏面の暗部チタン金属側から水素が発生した。このことから光化学ダイオードにおける電荷分離と両サイトでの酸化還元反応を確認した。 この光化学ダイオードのチタン金属側の反応溶液に硫酸銅を添加すると、気体生成物としてメタンを主成分とする炭化水素が生成した。この場合、硫酸銅の添加によりチタン金属上に光析出した金属銅が二酸化炭素還元に触媒効果をもたらすこととなり、従来電解還元の銅電極で報告されている特性と合致した。 さらにあらかじめチタン金属上に銅を電析させて同様な実験を行うと、上記の約10倍の速度でメタンが生成した。また光化学ダイオードを用いた還元では、微量の水素や一酸化炭素のほかに他の二酸化炭素還元ではあまり見られないエタンも生成することが判った。 今後は、n型半導体の酸化力に加えてp型半導体の還元力を利用した酸化チタンとシリコンからなるヘテロ接合型光化学ダイオードを作製し、光化学ダイオードの機能性の向上を図る予定である。また、光化学ダイオードにおける反応特性は、電極触媒や光触媒の特性と密接に関連するものと思われるので、金属電極とは別個に電極触媒としての黒鉛層間化合物や新規の光触媒反応についても検討を進めているところである。
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