研究概要 |
本研究における平成8年度の研究実績は次の通りである。 1).1-アザ-18-クラウン-6および1-アザ-15-クラウン-5を一本のアームで結合させ、ビス-アザクラウンエーテルを合成した。アームとしては-(CH_2)_n-(n=4,6)および-(CH_2)_n-C_6H_4-(CH_2)_n-(n=1-3)などである。これらホスト化合物に対して、ジカルボン酸としてマロン酸、1,1-ジベンジルマロン酸、テレフタル酸、p-ヒドロキノンなどのカリウム塩を包接させたところ、水溶液中およびメタノール/水系においては二つのアザクラウン環の間にこれらジカルボン酸のカリウム塩が包接されていることが、^<13>C-NMRスペクトルにより確認され、アロステリックホスト化合物としての機能を有することが示された。 2).これらの包接体は、液-液抽出により有機溶媒に移行するほどの安定性はないことが判明したので、更に1,10-ジアザ-18-クラウン-6に上記アームを反応させ、クリプタンドとし、カリウムイオンと共にそのカウンターアニオンも同時に包接するかどうかについて調査中である。現在までのところ、クリプタンドについてはp-ヒドロキノンのジカリウム塩において液-液抽出が可能であることが判明している。他の金属塩ではナトリウム塩が同様な結果をしめしている。
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