研究概要 |
本研究における銀接合型酸化チタンの光照射下での電子注入型触媒能を従来の研究において半導体の光酸化還元能を増す為に一般的に用いられている白金接合型と比較検討した結果,本研究の四塩化炭素のオレフィンへの付加反応で銀接合型の方が良好な結果を与えることを明かにした.次いで,本研究の主眼点である異種二重結合への選択的付加の検討の為に,分子中に極性型及び非極性型二重結合を有する基質を以下の様に合成した;a)塩化アクリリルとω-アルケン-1-オールとからのアクリル酸ω-アルケニル,b)ω-アルケニルグリニヤール試薬のアクロレインへの付加に引き続くクロム(VI)酸化によるω-アルケニルビニルケトン,c)エチレンクロロヒドリンとω-アルケン-1-オールからの酸触媒エーテル化に引き続く酸触媒脱塩化水素によるω-アルケニルビニルエーテル.ポリハロゲン化合物として四塩化炭素を用い,a)〜c)で調製された基質と銀接合型酸化チタン触媒存在下光反応させた所,非極性型炭素-炭素二重結合部分とエステル,ケトンあるいはエーテルの様な極性官能基間のメチレン鎖が6個を越える場合には,ほぼ完全な選択性で非極性型二重結合に四塩化炭素がトリクロロ基と塩素原子部分に分裂して付加した生成物が50〜70%の収率で得られた.一方,極性官能基と非極性二重結合部分とのメチレン鎖4個以内の場合には付加物の収率が40%以下に落ちると共に非極性二重結合部分への付加の選択性も低下することが判明した.
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