研究概要 |
生体内にはカルボン酸・アミンなどの微量成分が数多く存在し、これら生体成分の定量は、生理学上の機能の解明、病気の診断、病気の原因の究明および治療に重要な役割を果たす。そこで、高感度で高選択的な蛍光誘導体化試薬の開発を目指し、本年度は新規な6-アミノキノキサリン類およびそれらのN-アシル誘導体の合成法を確立することを目的とした。 (1)4-ニトロー1,2-フェニレンジアミンから2段階の反応をへて、2,3-ジクロロ-6-ニトロキノキサリンを合成することができた。 (2)2,3-ジクロロ-6-ニトロキノキサリンにアルコール・チオール・アミン等を反応させ、2,3-位に種々の置換基をもつキノキサリン誘導体を高収率で合成することができた。さらに、2,3-位に様々な環サイズのクラウンエーテルが置換した誘導体も併せて合成することができた。 (3)2,3-位に置換基をもつ6-ニトロキノキサリンをアルコール中、Pd-C存在下で接触還元を行い、高収率で対応する6-アミノキノキサリン誘導体を合成することができた。 (4)6-アミノキノキサリン類と長鎖カルボン酸をDCC-HOBt法によりカップリングし、高収率で6-(アシル)アミノキノキサリン誘導体を合成することができた。 これらの研究を通して、(1)数多くの新規な6-アミノキノキサリン誘導体が合成できること、(2)6-(アシル)アミノキノキサリン誘導体は、6-アミノキノキサリンと同様に、UVランプを照射すると強い蛍光を示すことが明かとなった。これらの成果は、英文速報誌Chemistry Lettersに受理された。
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