研究概要 |
平成7年度の研究で6-アミノキノキサリンおよび6-(アシル)アミノキノキサリン誘導体の合成法を確立することができた。従って、平成8年度は各種測定を中心に研究を行った。具体的成果を以下に示す。1.6-アミノキノキサリン誘導体のスペクトルを測定した結果、MeCN中で350〜390nmに吸収極大をもち、450〜484nmに発光極大をもつ強い蛍光を示すことがわかった。2.6-アミノキノキサリン誘導体の蛍光強度は、MeCNへの水の添加やMeOH中で著しく減少することがわかった。3.2,3-ジメトキシ-6-アミノキノキサリンのEtOH中での蛍光の量子収率を測定したところ、0.8とかなり高いことがわかった。4.クラウンエーテルが置換した6-(アシル)アミノキノキサリン誘導体について、5種のアルカリ金属イオン存在下蛍光強度の変化を測定したが、各イオン間で大きな差は見られなかった。5.6-(アシル)アミノキノキサリン誘導体のうちモルホリンが置換した化合物は450nmに、メタノールが置換した化合物は395nmに発光極大を示し、いずれも誘導体化前の6-アミノキノキサリンに比べ10〜30nm短波長シフトすることがわかった。6.5種類の飽和脂肪酸の6-(アシル)アミノキノキサリン誘導体を蛍光検出器付HPLCで分析した結果、40分以内で完全に検出することができた。7.これら誘導体の検出限界は1fmol/μl(注入量)と高感度であることがわかった。 以上のように、6-アミノキノキサリン類は安価で容易に合成することができしかも感度も高いことから、当初の研究計画通り長鎖カルボン酸類の新しいタイプの蛍光誘導体化試薬として応用できることが明かとなった。
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