研究概要 |
生体内にはカルボン酸・アミンなどの微量成分が数多く存在し、これら生体成分の定量は、生理学上の機能の解明、病気の診断、病気の原因の究明および治療に重要な役割を果たす。そこで、本研究では新規6-アミノキノキサリン類を用いた高感度な蛍光誘導体化試薬の開発を目的とした。 以下に研究成果の概要を示す。1.2,3-ジクロロ-6-ニトロキノキサリンにアルコール・アミン・クラウンエーテル等を反応させ、2,3-位に種々の置換基をもつキノキサリン誘導体を高収率で合成することができた。2.2,3-位に置換基をもつ6-ニトロキノキサリンをアルコール中、10%Pd-C存在下で接触還元を行い、高収率で対応する6-アミノキノキサリン誘導体を合成することができた。3.6-アミノキノキサリン類と長鎖カルボン酸をDCC-HOBt法によりカップリングし、高収率で6-(アシル)アミノキノキサリン誘導体を合成することができた。4.6-(アシル)アミノキノキサリン誘導体の蛍光特性を明かにし、これを基にHPLC条件の最適化を行った。5.5種類の飽和脂肪酸の誘導体を蛍光検出器付HPLCで分析した結果、40分以内で完全に検出することができた。6.これら誘導体の検出限界は1fmol/μl(注入量)と高感度であることがわかった。 以上のように、6-アミノキノキサリン類は安価で容易に合成することができしかも感度も高いことから、当初の研究計画通り長鎖カルボン酸類の新しいタイプの蛍光誘導体化試薬として応用できることが明かとなった。
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