| 研究概要 |
本研究は,一分子内に疎水鎖としてフッ化炭素鎖と炭化水素鎖の両者を有する実用性の高いハイブリッド界面活性剤を合成し,それらの物性(表面張力低下能,乳化能ならびに水溶液中のミセル構造)を明らかにすることを目的としている。
平成7年度はペルフルオロアルキルヨ-ジドとしてC_4F_9l,C_6F_<13>l,酸塩化物としてC_2H_5CH_2COCl,C_4H_9CH_2COCl,C_6H_<13>CH_2COClを組み合わせた鎖長の異なるハイブリッド界面活性剤[一般式RfC_6H_4COCH(SO_3Na)R,Rf=フルオロアルキル基,R=アルキル基,以下フルオロアルキル基の炭素数をn,アルキル基の炭素数をmとし,FnHmで示す]の合成を行った。いずれも空気中で安定な白色粉体として得られ,収率は54〜85%の範囲であった。溶解性を示すKrafft点はF4H2,F4H4,F6H2では<0℃,F4H6が20℃,F6H4が15℃であっが,F6H6では48℃となった。F4H2ならびにF6H4のTG測定からそれぞれ210.8℃,208.5℃が得られ,熱的にも安定な界面活性剤であることがわかる。界面活性剤水溶液における臨界ミセル濃度ならびに表面張力低下能の測定を行ったところ,F4H2(8.2mmol/l,24.0mN/m),F4H4(3.5,22.5),F4H6(1.2,18.9),F6H2(0.83,21.5),F6H4(0.23,20.4),F6H6(0.55,16.2)であり,界面活性剤単独系としては現存する界面活性剤の中で最も優れた表面張力低下能を示した。
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